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コラム

2024.12.06

花織のお役立ちコラム Vol.02「栄養バランスについて」

最近、私は毎食写真を撮るようにしています。後になって撮ったものをひとごとのように見返すと、食べ過ぎていることや揚げ物ばかりなど、改めて気づかされます。面倒くさいなどの理由で食事をおそろかにせず、一食一食を大事にしてほしいと思います。ご存知のように、人の体は食べたものでつくられ、そして維持されています。これは「いま」だけではなく、「未来」の体にも影響があるということです。

また、栄養バランスだけを考えれば健康でいられるというわけではありません。例えば、骨折して寝込むことになると認知症が進行すると言われます。そこで、『骨が強くなるからカルシウムを摂りなさい』と言われます。

ところが、カルシウムをたくさん摂っている国ほど骨折が多いのです。骨折が多いからカルシウムを積極的に摂っているのかもしれませんが、骨折は防げていないようです。骨はショックがかからないと新陳代謝がおこらず鉛筆の芯のように硬いけれども折れやすくなります。その場足踏みはカカトが後で着地し、骨に適度なショックがかかります。

そのフォームのまま進めば骨が強くなる効果があり、転びにくい歩き方となります。カルシウムの他、鉄や亜鉛も必要です。肉の赤い色は鉄ですし、亜鉛は細胞分裂に必要なので、生きていた細胞には少しずつは含まれていますが、これらは大量のカルシウムと一緒だと吸収が悪くなります。

食物繊維は亜鉛の吸収を悪くしますから、野菜から食べると亜鉛の吸収はますます悪くなります。肉ばかりを先に食べるのがよいということになります。生野菜から食べるのは大食漢のダイエット法で、栄養を十分に摂らなければならない痩せた高齢者には向きませんし、昭和30年代までは野菜は火を通して食べるものでした。

ものがなかった頃は偏食による栄養の片寄りが問題でしたが、現在ではこうした摂りすぎによっても片寄ります。足し算で考えることができないものがいろいろあり、バランスよく考えて食べましょうと言われますが、なかなか悩ましいものです。群れで行動する野生のゴリラは一箇所で果物を食べ尽くすようなことはせず、適量を食べたら別の果樹に移動します。『適量』は本能で分かるようです。大まかに言うと、両手で持てるくらいの量までが一度に食べられる量です。

たんぱく質や脂質には人体内で合成が出来ない栄養素が含まれますのでしっかり食べないといけません。まき割り、水くみはおろか、土木作業も農作業も農業も機械操作になってしまった現代では、力が出るごはんが活躍する場面は少なく、体脂肪を増やすだけの栄養素になってしまいました。

人類が耕作によって食物とした穀類は適量が分かりません。『ご飯がいくらでも食べられる』と口走るのは適量が分からない証拠です。食品交換表では芋と米は同じ欄に載っていて同量を交換可能となっているのですが、焼き芋がいくらでも食べられるとは思わないでしょう?

心血医院(ここちいいん)
院長 和田豊郁

医師 医学博士 産業医
健康スポーツ医

1958年 熊本県生まれ
1977年 ラ・サール学園卒
1984年 久留米大学医学部卒
1998年 久留米大学病院情報部 講師
2002年 医療法人天神会 医療情報部部長
2005年 久留米大学病院情報部部長 准教授
2015年11月20日 心血医院(ここちいいん)開設