花織のお役立ちコラム Vol.01「健康食品を上手に摂って健康維持」

野生の動物はおなかがすけば食べものを求め、食べたいだけ食べたら安全な所に移動して休む、という暮らしをしています。人類は生のままでは食べられない穀物を栽培し蓄えて食糧にするようになりました。
戦中・戦後に米が手に入らなくなると芋では力が出ないと多くの人が感じたように、穀類は短時間で肉体労働に適した多くのエネルギーを得ることができる優れた食物です。ところが、その後の急激な社会変化により、薪割り、水くみ、水運び、拭き掃除など、力を出さなければならない日常の労働は激減してしまい、以前はバランスが良かったはずの食事が、必ずしもそうではなくなってしまいました。栄養過多や肥満、ひいては生活習慣病への対策として健康食品やサプリメントが注目されています。
健康食品は健康の保持や増進に役立つ食品で、清涼飲料水や粉末の形で販売されていることが多く、特定保健用食品(トクホ)などの保健機能食品には「糖質の吸収をおだやかにする」とか「おなかの調子を良好に保つ」などと具体的に健康維持を助ける効能効果が書かれています。健康食品のうち特定の成分が濃縮されて錠剤やカプセルで提供されているものが栄養補助食品とかサプリメントと呼ばれています。サプリメントはその形状からくすりのようにも見えてしまうのですが、何かを治してくれるものではなく、不足しがちな成分を補い、健康維持に役立てようとするものです。
「○○を食べなさい、□□に良いから」とか「△△はくすリになる」という風に昔から言われていたような健康情報を食生活に取り入れようとすると、現代生活では食べ過ぎになってしまいます。
健康食品はその対策のひとつとなります。たとえば、焼き芋を食べたらお通じがよくなる、と聞いて毎食サツマイモを追加して食べたら、栄養が足りていない時代でしたらともかく、現代では、食べたカロリーの分を運動などで消費しなければ肥満になってしまいます。糖尿病の方でしたら肥満になるような食生活は御法度です。あちらを立てればこちらが立たず。そこで、お芋のお通じが良くなる成分である食物線維だけを摂ることができれば肥満にならずに済みます。そう、健康食品やサプリメントの出番です。
ただ、健康食品も食品です。食品とは、口にすることができるもののうち、薬以外と定義されます。病気を治すにはやっぱり薬の力を借りなければなりません。健康食品は、健康を維持するために健康な人が食べるもの、とも言えるでしょう。
心血医院(ここちいいん)
院長 和田豊郁
医師 医学博士 産業医
健康スポーツ医
1958年 熊本県生まれ
1977年 ラ・サール学園卒
1984年 久留米大学医学部卒
1998年 久留米大学病院情報部 講師
2002年 医療法人天神会 医療情報部部長
2005年 久留米大学病院情報部部長 准教授
2015年11月20日 心血医院(ここちいいん)開設